小さな体に、煌めく、黒目がちで大きな目はハムスターの魅力のひとつです。

ハムスターの目は私たち人間とは構造が少し違い、得意なことや苦手なことも当然私たちとは違っています。

彼らはその目で、どのように世界を捉えて生きているのでしょうか?

ハムスターはとても「近眼」

ハムスターは元々夜行性で、土に巣穴を掘って生活する動物なので、主に嗅覚や聴覚に頼って生活しています。

暗闇の中ではあまり役に立たない視力は低く、30cmくらい先までしか見えないというかなりの「近眼」です。

物の形を捉えるのも得意ではなく、周りのものをぼんやりとした影のように認識しています。

また、目が顔の側面についているため、目が前向きについている人間のように遠近感を図ることはできず、平面的に空間を捉えています。

この目は通常歩いている時にはやや上方を向くようになっていますから、下を見ることも苦手です。

そのため、顔の下については目ではなく長いヒゲで確認しています。

色を感じる視細胞の錐体が少ないため、色は2色程度の見分けしかできていません。

ほぼ白黒に見えているだろうと言われています。

動体視力はバツグン

視力がほとんどないハムスターですが、動体視力はとても優れています。

ぼんやりとした影としか認識できずとも、すばやく動くものには即座に反応します。

さらに、視細胞のうち光を感じる部分である桿体が多いため、暗闇でも周りを見ることができます。

そしてこの大きな目の視野はとても広く、横方向に270度ほどと言われています。

私たち人間の視野は横方向に120度と言われていますから、その倍以上の視野です。

野生下のハムスターは、いつ何時上から捕食者に襲われるかわかりません。

広くぼんやり前方やや上方向に視野を確保し、少しでも動くものを見つけたら、それが何であるか判断する前にすぐさま逃げられるように進化しています。

注意してあげたいこと

以上のようなハムスターの目の特性から、注意してあげたいことがいくつかあります。

第一に、目が良くなく、遠近感もないため、高いところから落ちてしまうなど、飼い主から見ると無謀なジャンプをして怪我をすることがあります。

ですので、ケージの中や散歩をさせる場所では、なるべく大きな高低差ができないようにしてあげると良いでしょう。

困ったことに、小さな4本の足にはしっかり物を掴める指があるため、意外と登るのは得意です。

なので、高いところに登っていけないようにしてあげる工夫も必要です。

抱っこしてあげる時も、手から飛び出さないよう注意しましょう。

ハムスターは嗅覚や聴覚に頼って行動しているため、気になる音やニオイの方へ見えていないのに飛び出してしまうことがあります。

第二に、飼育下で飼い主が近付くとき、急に上から近付くとぼんやりと影だけで物を認識しているハムスターは、飼い主を外敵と勘違いしてびっくりしてしまいます。

視力が弱い分、嗅覚と聴覚が発達しており、視界の外にいても飼い主の存在を感じていますので、優しく声をかけて自分の存在をアピールしつつ、ハムスターが認識しやすい真正面からゆっくり近づいてあげましょう。

病気にも注意

ハムスターの目は視力はあまりないものの、広い視野を確保し夜間行動する際に光を少しでも集めるために、眼球が体に対して大きく出来ていて少し飛び出しています。

まぶたもとても薄いです。

そのため、毛づくろいをしている時に自分で眼球を傷つけてしまったり、ウッドチップやトイレの砂などが付着して炎症を起こしてしまうことがあります。

普段から飛び出しているため、ハムスター自身が眼球になにか触れてもあまり気にしないためです。

病気にならないよう、飼い主が気をつけてあげましょう。

例えば、床材や砂に薬品の使われていないものを選ぶ、スキンシップをとる際に、目やにが出ていないか・目がいつもより飛び出たりしていないかなどをチェックする、といったことです。

目を傷つけたり不衛生にすると、結膜炎や角膜炎、ものもらいといった病気の元になってしまいます。

白内障もハムスターに多い病気で、失明することもあります。

ハムスターは病気になっても悟られない様に振舞う生き物です。

その上、普段から視力に頼っていないため、目の病気になっても生活ぶりが大きく変わらない場合があります。

痛くなさそう、大丈夫そう、と自己判断せず、少しでも異常を感じたらすぐに病院に行きましょう。

ハムスターと私たちの見ている世界は違っている

私たちは立体的でカラフルな広い世界を見て暮らしています。

一方、ハムスターは平面的でモノクロなぼんやりした世界を生きています。

それは決して人間より劣ったものではなく、人間には感じられない音やニオイで彩られた全くの別世界です。

その世界を快適に過ごしてもらえるよう、ハムスターの目線を想像しながらお世話をしたいものですね。