エサが少なく気温の低い冬場は、多くの野生動物が冬眠をします。

飼育下のハムスターも「疑似冬眠」をすることがありますが、それはどのようなもので、どういった条件下で起こるのでしょうか。

また、ハムスターが疑似冬眠したときには、飼い主はどうしてあげたら良いのでしょう。

室温が急激に下がるなどの異常事態への対抗策

室温が急に下がるなどした場合に、ハムスターの呼吸・心拍数・体温が低下し、体が硬く、冷たくなる状態に陥ることがあります。

これが疑似冬眠と呼ばれる状態です。

ゴールデンハムスターの場合は室温10℃以下、ジャンガリアンハムスターの場合は室温5℃以下になると、疑似冬眠に入りやすくなると言われています。

ただし、条件は室温だけではなく、日照時間が少ない・過剰なストレスにさらされている・栄養不足など、いくつかの条件が重なって引き起こされます。

飼育下のハムスターは冬眠しないのが普通です。

野生のハムスターでも必ずしも冬眠を必要とするわけではありません。

環境に著しい問題がなければ、そのまま冬を乗り切ることが可能な動物です。

そのハムスターが冬眠をするのは、その環境が一時的にせよかなり劣悪な環境であることを意味し、このときハムスターはギリギリのところで生命を維持すべく生命活動を最小限に抑えている、死の一歩手前という状態です。

疑似冬眠と凍死の見分け方

疑似冬眠をしているときのハムスターの体は、死んでしまったときとかなり似ていますので、飼い主さんは驚くことでしょう。

普段37℃程度の体温が10℃以下となるためとても冷たいですし、筋肉もこわばってしまって固くなります。

見分ける方法はいくつかあります。

まず、皮膚を触ってみてください。

死亡している場合には、固くつっぱったようになりますが、疑似冬眠の場合は生きていますので皮膚は柔らかいままです。

また、脈拍が1分間に5~6回、呼吸が1分間に2回ほどありますので、しばらく手のひらの上でよく観察してみてください。

ジャンガリアンハムスターの場合であれば、日内休眠というタイプの冬眠をします。

これは日中だけ体温を下げて体力の消耗を抑えるものです。

この場合夕方には起きて活動を始めます。

疑似冬眠から目覚めさせる方法

疑似冬眠の一番大きな原因は寒さです。

ハムスターの疑似冬眠は死につながりますので、温めて起こしてあげましょう。

このとき、ストーブやドライヤーなどの熱で急激に温めることは絶対にしないでください。

疑似冬眠状態のハムスターの体は、内蔵や筋肉の働きを最小限に抑えています。

急激に温めてしまうと特に心臓に負担が掛かりとても危険です。

タオルにくるんでホットカーペットやこたつの端で時間をかけてゆっくり温めるようにしてください。

疑似冬眠であれば数十分もすれば動き出します。

目覚めた場合は、砂糖や蜂蜜をぬるま湯に溶かしたものを舐めさせ、体力を回復させてあげましょう。

そもそも疑似冬眠は体力が限界に近づいている時にするもので、疑似冬眠からの目覚めはとても体力を消耗します。

疑似冬眠をさせないために

疑似冬眠はハムスターにとってとても危険な状態です。

この状態に陥らないよう、普段から対策をしてあげるようにしましょう。

ハムスターにとって快適な室温は20~25℃と言われています。

おとなのハムスターは多少の暑さ寒さは巣材の調整などでやり過ごしますが、なるべくこの室温を保つように心がけることをお勧めします。

闘病中・妊娠中・まだ幼い・高齢など体の弱いハムスターは特に気をつけてあげましょう。

巣材を多めに敷いてあげる、床にケージを直接置かない、などの工夫をすると、下からの冷気からハムスターを守ることができます。

玄関や窓際など、気温差の激しい場所にケージを置かないことも大切です。

ケージ自体も金網ではなく水槽を使うと保温性・保湿性に優れますので、冬季には適しています。

エアコンやパネルヒーターで室温自体を一定に保つことも必要です。

ストーブ・ハロゲンヒーターなどは暖かいですが温度を一定に保つことが難しいので、補助的に使うようにしてください。

ハムスター用寒さ対策グッズ

一人暮らしで日中不在にする方や、暖房費が気になる方は、エアコン等をつけっぱなしにすることは難しいと思います。

そのような場合にはペット用の暖房グッズがオススメです。

ハムスターヒーターという、ケージ内で使用するものは、ハムスターがゆったり乗れるほどの面積を電熱で温めます。

ドームタイプと板状のものがありますが、どちらもコードをハムスターがかじってしまわないような工夫がされていますので、ケージの広さや普段ケージ内で使っている他のグッズとの兼ね合いで選んでください。

ケージの下に敷くパネルヒーターもあります。

これはケージ内には入れずに使うものですので、ハムスターが直に触れないようにしてください。

ハムスターヒーターよりも大きく、ケージ全体を温めることができます。

水槽で飼育していて、中にコードが通せない場合はこちらが良いでしょう。

ハムスターの疑似冬眠に気を付けよう

疑似冬眠は真冬よりもむしろ、春先や秋口など、「寒くはないな」と油断しているときにくる急な冷え込みによって引き起こされることが多くなります。

季節の変わり目の温度変化には十分注意して、暖かく健康に過ごせるようにしてあげてくださいね。