ハムスターはその愛くるしい見た目と裏腹に、共食いをする動物として知られています。

共食いをする生き物は自然界にはたくさんいますが、ハムスターもまた例外ではありません。

しかし飼育環境化においては、飼い主のちょっとした注意で共食いを防げるケースも多くあります。

そこで今回はハムスターが共食いをしないためのポイントをご紹介します。

別々のケージで飼う

ハムスターは元々集団で暮らす動物ではなく、とても縄張り意識の強い1匹オオカミタイプの動物です。

縄張りの範囲は予想外に広く、常に他の外敵などが自分のテリトリーの中に入ってこないか警戒しています。

自然界では強いものが弱いものを縄張りから追い出し、弱いものは逃げていくため多くの場合は共食いとはなりません。

本来は1匹で暮らす動物ですのですが、ペットとして飼う場合は「1匹じゃかわいそう」「賑やかな方が楽しい」など飼い主の勝手な解釈で、複数のハムスターを1つのケージの中で飼ってしまいがちとなります。

ペット屋さんで1つのケージや水槽に複数飼いで展示しているのも、原因のひとつかもしれません。

1つの狭いケージの中で縄張り争いが起きると、弱いものは逃げ場がなく強いものに食べられてしまいます。

これを防ぐためには、1匹ずつ別々のケージで飼うしかありません。

ケージが増えることで、飼育場所に支障をきたすこともあるでしょうが、ハムスターの身の安全のためにはこうする以外にありません。

1匹で飼う

別々のケージで飼うことができないのであれば、潔く複数飼いはあきらめ1匹のみで飼育するしかありません。

1匹であれば何も争いごともなく、飼い主としても安全に飼うことが可能となります。

そして1匹飼育の場合は飼い主の愛情も1匹に注がれるので、ハムスターにとってもとても恵まれた環境になり得ます。

オスとメスを一緒に飼って子供を産ませたければ別ですが、それ以外の場合はオスであれメスであれ、単独で飼ったほうが共食いもなく安全です。

ハムスターも個体ごとに性格もさまざまで、中にはあまり縄張り意識の強くないものもいるようです。

しかし、だからといって複数飼いしても大丈夫とはいえないので、1匹で飼うのが安全だしハムスターにとっても幸せです。

母親にしっかり栄養を与える

子供を産んだ母親ハムスターが生まれた子供を食べてしまうことがあります。

その理由の1つとして、母親の栄養不足が考えられています。

ハムスターは一度に10匹程度の子供を産みますので、これは母親にとっては体力的に相当過酷なこととなります。

子供を産み育てるためには相当量の栄養補給が必要です。

子供を食べる原因としては、母親が栄養を補うため子供を食べてしまうという説があります。

更に栄養不足で子供を育てられないというストレスから食べてしまうという説もあります。

どちらの説にしろ、根本は母親ハムスターの栄養不足が原因ですから、これを解消してあげる必要があります。

一般的にはタンパク質が足りないと共食いが起きやすいといわれ、特に動物性タンパク質の摂取が有効と言われています。

動物性タンパク質はハムスター用の煮干しやチーズ、ペレットフードなどにも含まれていて、これらを与えるのが普通です。

しかし自然界においてハムスターは昆虫などを食べることでタンパク質を得ています。

このためミルワームなどの生餌が最も良質なタンパク源といわれています。

虫が苦手な人にとっては、ちょっと厳しいかもしれませんが、母親のためにはこれがベストな食事となります。

他にビタミンなども不足しがちとなりますので、しっかりと食事を摂らせるようにしましょう。

一般的に出産・子育て時期の母親は、通常の倍のエサの量が必要と言われています。

子供にさわらない

母親ハムスターが子供を食べてしまう原因の一つに「外敵の臭い」があります。

具体的には飼い主が赤ちゃんハムスターに触ってしまうと、飼い主の臭いが赤ちゃんについてしまい、自分たちと違う臭いのため敵と勘違いし食べてしまうというものです。

ハムスターは視力は弱いものの、その分嗅覚はとても優れていて見た目ではなく臭いで物事を判断するといわれています。

ハムスターが赤ちゃんを食べたり、育児を止めてしまったりするのは、赤ちゃんが生まれて1週間の間によく見られる現象です。

ですのでこの時期に赤ちゃんに触るのは厳禁です。

少なくとも離乳時期となる生後20日あたりまでは触らないでおくのが無難です。

ハムスターの赤ちゃんは小さくてとてもかわいく、ついつい触って見たくなりますが、赤ちゃんの命に関わることですのでここは大きくなるまで我慢することが大切です。

子育ての様子をむやみに覗かない

出産、子育て最中の母親ハムスターはとても神経質になっています。

このため、この時期にはとにかくストレスを与えないことが必要になります。

エサやりや水替え以外は極力ケージ内に手を入れないようにします。

掃除も極力しないほうがよいのですが、特別に汚れているところがあれば、その部分だけ手早く静かに掃除するにとどめましょう。

エサやりや水替え、掃除など最低限のお世話をサッと行えるように、ケージ内のレイアウトを前もって構築しておくのが得策です。

子供を産む前にこうした手際よく作業がしやすいレイアウトにしておくと、子育て中のお世話がとても楽にできます。

そして母親に極力ストレスを与えず気分よく子育てしてもらうことが、子食いを防ぐコツともなります。

とはいえ、とにかく極力ケージに触れないことが何より大事で、少々汚れても手を出さない我慢が必要です。

ケージの中を必要以上に覗き込むのもNGです。

ハムスターの共食いを防ごう

自然の摂理によって共食いは避けられない面もありますが、飼い方ひとつでリスクを減らすことができます。

単独飼いを除き、絶対大丈夫とは言えませんが、それでも多少なりとも効果があることも事実です。

人気のペット動物ですから、衝動的に飼うケースも多いことでしょう。

しかし、こうしたハムスターの習性を理解することが大切な命を救うことにつながります。