人間は眠っているときに夢を見ますが、あなたの愛犬も同じなのでしょうか。
もし犬が夢を見ているとしたら、それはどんなものなのでしょうか。
犬は夢を見るのかをご紹介します。
ノンレム睡眠とレム睡眠
まず、睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があります。
人間は寝ている間にこの2種類の睡眠を繰り返すことが知られています。
まずノンレム睡眠を簡単に説明すると「深い眠り」です。
脳波の動きはノンレム睡眠に比べてゆっくりとしており、呼吸は規則的で脈拍数は少なくなり、血圧と体温も低下します。
いわば「ぐっすりと眠っている」状態で、叩いても揺すっても起きないようなときはこのノンレム睡眠の状態だと考えて良いでしょう。
レム睡眠は簡単にいえば「浅い眠り」です。
体は眠っている状態なのにもかかわらず、脳は起きているときに近い状態になり、脳波の動きも活発になっているのです。
眼球は頻繁に動いていますし、体の筋肉もピクピクと痙攣しているかのような動きを見せます。
こういうときには誰かに呼ばれるなど、ちょっとしたことでも起きてしまうのです。
そして、夢はいつ見ているのかといえば、レム睡眠のときだとされています。
脳が活発に動いており、一定レベルの意識が保たれているためです。
犬はノンレム睡眠が8割
では、犬の場合はどうでしょうか。
実は犬もこのノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しているのです。
なおかつ、このうち眠りの浅いレム睡眠が、睡眠時間のうち8割を占めていることも知られています。
なぜ犬はレム睡眠の時間が長いのかといえば、犬がもともと狩猟をする肉食動物であることと関係があるのです。
いつ目の前に餌が現れるか分かりませんので、ぐっすり眠っていてはいつまでたっても食事にありつけないということになってしまいかねません。
このため、何かがあればいつでも目を覚ませるように、レム睡眠の占める割合が大きくなっているのです。
また、野生動物は家の中にいるペットとは違い、いつどこで自分を襲ってくる外敵に出会うか分からない環境で生きています。
外敵が近くに迫っているのにぐっすり眠っていては、襲撃を受けて命を落としてしまいかねません。
いつでも攻撃態勢に移ることができるように、あるいはすぐに目を覚まして逃げることができるように、眠りそのものが浅くなっているのです。
眠りに占めるレム睡眠の時間が大半を占めているということから分かる通り、犬も人間と同じように夢を見るのです。
むしろ睡眠時間の大半は夢を見ているといって差し支えないでしょう。
夢を見ているときの犬の行動
犬も人間と同じように夢を見るということは分かりましたが、実際に夢を見ているときに、犬はどういう行動を取っているのでしょうか。
例えば人間の場合、夢を見ているときには寝言を言うことがありますが、これは犬も同じです。
半が、半分目を開けて眠っている状態なのに、うなり声を上げていることがあります。
犬がどういう夢を見ているかまではさすがに分かりませんが、犬は寝ている間でも臨戦態勢ですので、起きてすぐ攻撃に移れるようなシミュレーションを夢の中で行っているのでしょうか。
いずれにしても、犬が眠っているのにうなり声を上げているときは、夢を見ていると考えて間違いないでしょう。
睡眠中に手足がピクピク動いているときも、同様に夢を見ている可能性が高いです。
人間のレム睡眠で筋肉が動いているのは上にも書きましたが、同じことが犬にも起きているのです。
外敵に襲われることのない飼い犬にもこうした野生の本能は残っていますので、夢の中で狩りのシミュレーションをしている可能性はあります。
付け加えると、犬が起きた直後にいきなり走り回ったりすることがあります。
起き抜けに愛犬が吠えるのを見たことがある人も多いでしょう。
これも直前まで夢を見ていた証拠といっていいかもしれません。
何かに追いかけられて逃げ回っているような悪夢を見たのかどうかは分かりませんが、起きてすぐに逃走しなくてはならない、攻撃しなくてはならないといった野生の本能が生きているための行動なのは確かなようです。
犬は夢を見ている可能性が高い
犬の睡眠時間は種類によって違いますが、12~18時間と1日の半分以上は寝ているのです。
しかも、「レム睡眠」という眠りの浅い時間が大半を占めています。
犬が寝ているときにちょっかいをかけるとすぐ起きてしまうのはこのためです。
しかしせっかくの貴重な睡眠時間を減らしてしまい、愛犬に精神的な負担を与えてしまうのは、飼い主として愛情が足りないと言われても仕方がありません。
愛犬が寝ているときはできるかぎり邪魔をせず、しっかりと夢を見てもらうのが飼い主のあるべき姿ではないでしょうか。