ジョウビタキは、スズメくらいの大きさの色鮮やかな冬鳥です。

でも、スズメに比べるとポピュラーな鳥ではなく、姿を見たことがあっても、その名前や生態を知らない人は多いです。

ジョウビタキはどこからやってきて、どんな生活をしているのでしょうか。

ジョウビタキの生態

ジョウビタキはスズメ目ツグミ科に属する鳥です。

体長は13~15cm、重さ約20gで、スズメより少し小型です。

和名では「尉鶲」と表記します。

「尉」とは、老人(翁)の白髪を連想させる意味があり、オスの特徴的な頭部が由来となっています。

中国東北部からチベット地域にかけての比較的標高が低い山地で生活・繁殖します。

冬になると日本や中国南部地域に渡って寒さを凌ぎます。

日本には渡り鳥として毎年渡来し、全国各地でその姿を見ることができます。

明るい雑木林や公園、民家の庭など、比較的人気の多い場所に頻繁に姿を見せます。

主に積雪がない土地で生活しますが、北海道や東北でも目撃されています。

日本への渡来中は繁殖をしないとされていますが、ごくまれに日本で巣を作り、繁殖している様子が確認されています。

ジョウビタキの特徴

翼の上部にある白いワンポイント模様が、ジョウビタキの特徴です。

この模様が着物の紋に似ていることから、「モンツキドリ」と呼ぶ地域もあります。

笛のように甲高い声で「ピッピッ」と連続して鳴きます。

たまに「カチカチ」と低い鳴き声も上げます。

この鳴き声が火打ち石を叩いている時の音に似ていることから、「火焚き(ヒタキ)」と呼ばれるようになりました。

芋虫やクモなど柔らかい虫が好物です。

飛んでいる小さな虫なら、空中でキャッチして捕獲する特技を持ちます。

また、小さな木の実や草の実も大好物で、口に入るものは何でも食べます。

嘴が短くて小さいため、地面に降り立って落ち葉などを引っ搔き回してエサを探します。

オスとメスの違い

オスは顔と背中が黒く、頭が綿帽子を被ったように白っぽいのが特徴です。

お腹や、尾の部分が濃い橙色をしていて、遠くからでもその美しさが映えます。

メスは上半身が淡い褐色をしていて、地味な姿です。

目の周りが白く、下腹部と腰から尾にかけて、濃い橙色をしています。

オスも、若鳥の間はメスと同じ体色をしています。

完全な大人になるにつれて羽毛が生え変わり、オス特有の姿に変わります。

縄張りに選ぶ地域環境にも、オスとメスで違いが見られる場合があります。

オスは比較的山に近い場所で活動し、メスは住宅街に近い場所で縄張りを持つことが多いです。

また、オスはオス同士、メスはメス同士で隣接した縄張りを確保している傾向があります。

ジョウビタキの性格

ジョウビタキは群れを作りません。

基本的に単独行動で、自分のエリアに入ってきた鳥に対しては攻撃的な性格です。

繁殖期以外は必ず一羽で行動し、相手が同じ仲間であっても容赦しません。

鏡などに反射して映った自分の姿を敵と勘違いして攻撃するなど、縄張り意識の高さが伺えます。

個体それぞれが縄張りの場所を記憶いているという説もあり、毎年渡来する度に同じ場所に来て冬を過ごしているともいわれます。

人間に対してはあまり警戒心を持たず、気付くとすぐ側にいる、ということも、しばしばあります。

同種の鳥との縄張り争いは、威嚇の鳴き声で決着をつけることが多いですが、留鳥のヒヨドリやカラスなど大型の鳥には敵わず、決めた縄張りから追い出されることもあります。

それでも隙を伺って自分の縄張りの中でエサ探しなどを行う、根気のある性格をしています。

ジョウビタキの寿命・飼育の可否

ジョウビタキの平均寿命は4~5年です。

ジョウビタキは野鳥のため、個人でのペットとしての捕獲や飼育は原則、禁止されています。

怪我をした個体の治療・保護などを動物園や保護施設行う場合があります。

ただし、自宅の庭にジョウビタキの好むエサを用意してエサ付けをすることは可能です。

赤や黄色の実をつけるピラカンサや、南天、ムラサキシキブなど小さな実を付ける木を庭に植えておくと、頻繁にやってきてエサをついばむ様子を観察することができます。

エサ場を作ってミルワームなどエサ用の昆虫を用意しても喜んで食べます。

他の大きな鳥(カラスなど)が入ってこれないように、ネットなどで防衛してあげると効果的です。

人の気配に慣れてくると、掌に止まってエサを食べるようになることもあります。

ジョウビタキはとても身近に感じられる冬の人気鳥

ジョウビタキは、日本に冬の到来を告げる鳥として野鳥愛好家たちに親しまれています。

寒空の下、ひょんなことから見かけるジョウビタキの愛くるしい姿は、もの寂しい冬の憂鬱な気持ちを吹き飛ばして、穏やかな気持ちにさせてくれます。

近くで鳴き声を聞くだけで、心が温まります。

適切な距離感をとりながら、親しく付き合っていきたいアイドルのような小鳥です。