猫の先祖は乾燥した砂漠地帯に生息していた山猫と言われています。
そのため、猫は少ない水分でも生きていけるような体の構造になっています。
しかし、なんらかの理由で必要な水分を摂ることができなければ、猫も脱水症状を起こすことがあります。
猫の脱水症状は命の危険もある重大な病気です。
甘く見ないで、しっかり対処してあげましょう。
猫の脱水症状の原因は熱中症や感染症、下痢、腎炎など
猫の脱水症状を引き起こしてしまう病気としては
・熱中症
・なんらかの感染症
・長期間続く下痢
・長期間続く嘔吐
・腎炎
・急性腎不全(老猫は特に注意)
・糖尿病
などが考えられます。
暑い夏場の時期には、特に熱中症による脱水症状が心配になります。
猫の熱中症は犬よりは発症の頻度は低いですが、猫も人間より暑さに弱い動物です。
そして、猫の熱中症自体も悪化すると命に関わる危険な病気になります。
飼育環境の温度管理をしっかりして、熱中症にかからないよう予防してあげましょう。
猫は気温30℃以上、湿度60%以上、風通しが悪い環境に長く置かれると熱中症にかかりやすくなります。
また、猫が若いうちは腎臓が元気なので飲む水の量が少なくても大丈夫なのですが、
老齢になってくると腎臓の働きが悪くなり、おしっこが薄まり、量が増えてきます。
飲む水の量が少ないと、排出される水分の量に追い付かなくなってしまい、
脱水症状を起こしやすくなってしまいます。
いつもと様子が違ったら脱水症状チェック
猫の脱水対策には人間の乳幼児用イオン飲料水
成長した猫の体の約60%、子猫の場合は80%が水分です。
その水分(体液)の中には水だけでなく、カリウム、ナトリウム、ミネラル分といった電解質が溶けて含まれています。
嘔吐や下痢などによって、体の水分が失われていくときには同時に電解質も失われていきます。
そのため、軽度の脱水状態の時には、猫の体に吸収されやすい電解質を含む飲み物を、
なるべく早い段階で与えて対処しましょう。
早期発見、早期対処が重大な体調悪化を防ぐために大切になってきます。
与える飲み物としては、猫の体液より少し低い浸透圧(200~250mOsm/kg)の飲み物で、
ブドウ糖が含まれているものだと吸収が良くなります。
人間の乳幼児用イオン飲料水がオススメです。
乳幼児用イオン飲料水に含まれる電解質、糖質の量は
大人用のスポーツドリンクよりも動物病院で行われる点滴液に近いものになっているからです。
大人用のスポーツドリンクを与える場合には、猫には含まれている塩分量が多すぎるので、
2倍の量の水で薄めてから与えましょう。
どちらも自宅に無い場合には、自分で作ることもできます。
〔材料〕
一度沸騰させ冷ました水→1リットル
砂糖→大さじ4と1/2杯(40g)
塩→小さじ1/2杯(3g)
水に砂糖と塩をよく溶かせば完成です。
レモンやグレープフルーツが自宅にあるならば、果汁を絞って加えましょう。カリウム補給ができます。
一度に大量の水分を与えるとショックを起こすことも
軽度の脱水状態の時には、猫を日陰の涼しいところに移動させ、
先ほどご紹介した乳幼児用イオン飲料水などの電解質を含む飲み物を少しずつ与えましょう。
一度に大量の飲み物を与えてしまうとショック症状を起こしてしまうことがあります。
様子を見ながら時間をかけて与えてください。
また、ただの水を与えてしまうと体内の電解質のバランスが崩れてしまい、症状を悪化させてしまうことがあります。
必ず電解質を含む飲み物を与えましょう。
軽度の場合には飲み物を与えてしばらく休めば回復してきますが、
飲み物を与えても飲もうとしない、エサ(水でふやかして与える)も食べないといった場合には、
急いで動物病院に連れていきましょう。
腎不全などの腎疾患を患っている場合は獣医の指示に従う
中年を過ぎた猫は、腎不全などの腎疾患を発症することが多くなります。
猫の腎不全は犬の腎不全の2~3倍も多く発症しています。
特に老齢の猫の発症率はとても高くなります。
愛猫が老齢になったら慢性腎不全の定期健診を必ず受けましょう。
早期に発見し、正しい治療を行えば、長く生きることもできます。
また、猫は病気を発症していても、周りに自分の不調を隠してしまいます。
飼い主さんの方で日常の細かな変化を見逃さずに、早期発見してあげることが大切になります。
猫が大量に水を飲みたがる場合には、ホルモンの異常、糖尿病、腎疾患の可能性が考えられます。
多飲や多尿に気づいたときにはすぐに動物病院に連れていき、
獣医さんの指示にしたがってください。
普段からよく観察して早期発見できるよう心がけよう
脱水症状に限らず、猫は自分の体調が悪くても本当に悪化してしまうまで周りに隠してしまう習性があります。
そのため、飼い主さんは普段から愛猫の毛並みや鼻や肉球の色などの体の特徴や、
しぐさをよく見ておき、愛猫が体調不良を周りに見せるようになる前に、異変に気がつく必要があります。
おかしいなと感じたら早めに動物病院に連れていってあげましょう。