大きな嘴や、ひょうきんな姿が人気の大型鳥・ペリカン。

動物園で見かけると、とてものんびりした姿が印象的です。

しかし、愛嬌を振りまく姿とは裏腹に、厳しい大自然の中で生き抜くため、貪欲で残酷な一面も見せる謎多き鳥でもあります。

ペリカンの特徴について、ご紹介します。

ペリカンとは

ペリカンは、ペリカン目ペリカン科に属する鳥類の総称です。

昔は「ガランチョウ」とも呼ばれていました。

かつてはトキやコウノトリ、カツオドリなどと同じ仲間として扱われていました。

調査が進むにつれて異なる種類として分類され、現在は6種類のペリカンがペリカン科として認識されるようになりました。

浅い水辺で生活し、温帯・熱帯の地域にある湖沼や川縁、海岸沿いなどで見ることができます。

繁殖期になると南の暖かい土地に渡る種類もいます。

日本ではモモイロペリカンなどが迷鳥として稀に確認されています。

動物園や、個人のペットとして飼育される個体も存在します。

中世以前のヨーロッパでは、ペリカンの親が命を犠牲にして雛を育てるという伝説が信じられていたため、慈愛や犠牲心をイエス・キリストの行いと重ね合わせていました。

そのため、現在でもペリカンをキリスト教の象徴として、絵画や紋章に描いています。

ペリカンの特徴

ペリカンは、水鳥の中でも大きい部類に入る鳥です。

ペリカンの中で最大といわれるハイイロペリカンは全長が170cm以上、翼を開くと3mを超えます。

体重も10キロ以上になり、空を飛ぶ鳥の中でも最重量クラスです。

オスのほうがメスよりも大きくなります。

頭部に比べて非常に大きな嘴を持ち、下嘴には「咽喉嚢(いんとうのう)」と呼ばれる、体ほどに大きく広がる袋を持っています。

主に肉食で、水辺に生息する魚や甲殻類を食べています。

獲物を捕まえる時は、大きな口を使って水ごと掬い取り、水だけを吐き出して獲物を丸飲みします。

一度に大量のエサを食べ、咽喉嚢やお腹に獲物を入れたまま移動する場合もあります。

お腹の重さでバランスをとって移動するため、エサをたくさん食べた直後でも、安定した飛行をすることができます。

足は太く短く、4本の指の間に水かきがついています。

泳ぎも得意で、集団で魚を追いかけて捕まえる「追い込み漁」も盛んに行います。

社会性が非常に高く、同じ種類の仲間同士で大きな群れを作って活動します。

繁殖地にも集団で巣を作って、外敵から身を守りながら子育てを行います。

ペリカンの性格は貪欲かつ厳格

ペリカンは非常に食欲旺盛です。

一度に食べるエサの量がとても多く、主食となる魚などのエサが少なくなると、口に入るサイズのものなら、何でも食べようとします。

魚介類だけではなく、鳩などの自分より小さな鳥、同じ生息地を持つ鳥類の卵や雛もエサとして捕獲します。

動物や人間の子供なども丸飲みにしようとすることがあります。

繁殖期になると、巣を作って2個~3個の卵を産んで育てますが、雛の食欲も激しいため、親が運んでくるエサだけではすぐに足りなくなります。

すると、雛たちの間でエサを奪い合う戦いが繰り広げられ、最終的に一番強い一匹だけがエサを得られるようになります。

親は負けた雛には見向きもしないため、結果的に勝った雛だけが成長して巣立っていきます。

厳しい生存競争を生き抜かなければならない過酷な環境で、ペリカンの雛たちは強く逞しく育ちます。

ペリカンの人間との関わり・寿命

体が大きい鳥のため、ペリカンは昔から人間によく捕獲されてきました。

地域によっては食肉として食べられていたこともありますが、ペリカンの肉は臭いが強く、食用としては好まれませんでした。

ペリカンから摂取できる油脂は、発疹や化膿など皮膚の病気に効果があり、薬として昔から重宝されてきました。

また、ペリカンの咽喉嚢はとても丈夫であるため、財布などに加工して用いられていた時代もありました。

警戒心が少なく、人にも懐きやすいため、ペットや家畜として飼育もされています。

捕獲・保護されたものを個人が飼育したり、動物園や自然公園などで生活してる個体もいます。

現代でも鵜飼と呼ばれる、水鳥を使用した漁が行われていますが、かつては魚を捕えるために、鵜ではなくペリカンを用いていました。

しかし、魚を大量に食べて漁場を荒らすことから、害鳥として駆除される場合もあります。

水辺の汚染や開拓などによって、次第に数を減らしています。

野生の寿命は15年~25年ですが、飼育されているものは、長いと50年以上生きる個体もいます。

最長の記録は80年です。

見た目以上に危険でシビアなペリカン

温厚なイメージが強く、人懐っこいペリカンですが、生きるために培われた獲物に対する執念や執着は、時として人間に大きな危害を加えることがあります。

飼育されている個体であっても、ペリカンには攻撃的な一面があるのだという事実を念頭に入れて、接することが大切です。