ペットとして水棲カメを飼育する場合大きく分けて2種類のカメが存在します。
陸上でも生活する半水棲ガメと、水中でのみ生活する完全水棲ガメです。
ここではその両方のカメの代表的種類をご紹介します。
ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)
水棲ガメとして良くも悪くも一番有名なのがミドリガメでしょう。
体長は最大30センチ、30年程度生きます。
半水棲ガメなので、飼育する場合は甲羅干しのための陸地と、各種ライトが必要になります。
値段も手頃で、類希なる生命力をもつ事から水棲ガメの入門種でありましたが、現在は販売しているお店を探す方が難しくなってきました。
その原因は、心ない飼い主が本種を飼育できなくなって、野に放ったものが大量繁殖し、日本固有の生態にダメージを与えたためです。
2020年を目途に特定外来生物に加えられる可能性が高く、加えられた場合は販売が完全にストップし、以降は飼育する事が不可能になります。
もしこれから飼育を開始される方は新たな個体を購入するのではなく、ネットなどから里親として引き取ってあげてください。
クサガメ
ミドリガメの次に有名な水棲ガメがクサガメでしょう。
こちらも体長は最大30センチ、30年程度生きます。
クサガメもミドリガメと同じく半水棲ガメなので、羅干しのための陸地と、各種ライトが必要になります。
クサガメは漢字で書くと「臭亀」で、「草亀」ではありません。
その名の通り大変くさい臭いを発生させますが、それは危険を感知して出すものですので、飼育下ではほとんど気になりません。
最近までは1000円未満で取引されていましたが、ミドリガメの販売停止を受けて、水棲ガメ入門としての需要が本種に流れて来たためか、価格は高騰傾向にあります。
「ゼニガメ」とは本来はイシガメの幼体を示す名でしたが、現在はクサガメの幼体を指す名前に変わっている場合が多いです。
購入時にゼニガメとしか表記されていない場合は、首元に黄色い模様があるかないかでクサガメかイシガメかを判別してください。
黄色い模様があればクサガメです。
ニホンスッポン
食用として有名ですが、飼育しても大変可愛らしいのがスッポンです。
スッポンを購入する場合は間違っても「スッポンモドキ」を購入しないように気を付けてください。
スッポンは上記した2種類とは大きく違い、水質に敏感で、生命力もあまり強いわけではありません。
上手く育てれれば、クサガメやミドリガメと同様に30年近く生きる事もある様ですが、その飼育の難しさから中々天寿を全うさせる事ができません。
また飼育方法自体も上記した2種類の半水棲ガメと、これから紹介する完全水棲ガメの中間のスッポン独特の飼育方法を取らなければいけないので、カメの飼育に慣れている人にとっても敷居の高いカメです。
しかし、食用目的の養殖が盛んに行われているように、慣れればそれほど飼育自体が難しい種ではありません。
カメを飼いたいが、ちょっと違った種を飼ってみたい人にはオススメの種類です。
スッポンモドキ
ニホンスッポンに似ている事からスッポンモドキと呼ばれていますが、インドネシアやオーストラリアに住む外国のカメです。
完全水棲ガメで産卵以外では陸に上がる事がないため、飼育下においては、陸地を作る必要はありません。
その変わりに非常に大型化するため、最低でも150cmの水槽、できれば180cmの水槽を用意しなければなりません。
陸がないという事は、180cmの水槽一杯に水を入れる事になるのですが、その際の総重量は約1tです。
その重さは一軒家の1階でも床補強が必要なレベルです。
これまでに紹介した日本の気候に適応したカメではないため、ヒーターで水の温度を一定に保つ必要があるので、電気代もかかります。
「けいおん」に出てくる「トンちゃん」が本種であり、アニメでホームセンターに売られているように、完全水棲ガメとしては最もポピュラーな種ですが、容易に手を出してはいけない種でもあります。
ジーベンロックナガクビガメ
カメの中には曲頸亜目と呼ばれる分類があり、これに分類されるカメは首が長い特徴があります。
その中で最も流通量があり、安価でなおかつ、完全水棲ガメなのがジーベンロックナガクビガメです。
本来日本に生息している種ではなく、完全水棲ガメですので、基本的にはスッポンモドキを飼育するのと同じようなデメリットがあります。
しかし、ジーベンロックナガクビガメはスッポンモドキほど大型化しないので90cmの水槽で何とか買う事が出来ます。
90cmの水槽とはアパートやマンション等の2階以上で何とか設置できるギリギリの重さになります。
「完全水棲ガメを買ってみたい」もしくは「曲頸亜目のカメを買ってみたい」といった需要の入門的な一種です。
水棲カメをこれから飼おうとしているなら
水棲に関わらずですが、カメは長生きします。
さすがに万年生きる事はありませんが、大切に飼うと数十年生きる種は決して珍しくありません。
そのため購入する時には、自分の年齢と、自分にもしもの事があった時に任せられる相手を見つけてから購入するようにしてください。
カミツキガメやミドリガメの被害を繰り返さないようくれぐれも注意してくださいね。