絶滅危惧種とは、絶滅の危機にある動物や植物などの生物のことです。

IUCNと呼ばれる国際自然保護連合の調査によると、およそ7万6千種いる動植物の内、2万2千種以上が絶滅の危機に瀕していると発表されています。

ここではその中でも代表的で、また日本の動物園などで見ることができる身近な動物をご紹介します。

ホッキョクグマ

「シロクマ」と言われたら大人も子供も誰しもが想像するであろう「ホッキョクグマ」は、実は絶滅危惧種に指定されています。

大きくて真っ白い体とつぶらな瞳、泳いだり遊んだりする姿で動物園では人気者ですが、地上に生息する肉食動物の中では一番大きい動物です。

北極圏に住み、海を覆う氷の上で生活しています。

主な食べ物はアザラシで、その他魚や鳥も捕食します。

泳ぎがとても得意で、氷上で休んでいる獲物には海の中から近づいて狩りをします。

地球温暖化によって氷の面積がドンドン小さくなっています。

エサとなるアザラシの数も減ってしまうことで、ホッキョクグマが生きてくために必要な住居も食料も減少し、これ以上地球温暖化が進行してしまうと、ホッキョクグマは暮らしていくことができなくなります。

メキシコサンショウウオ

別名ウーパールーパーとも呼ばれる両生類です。

日本ではペットショップや稀に飲食店などでも見ることができ、ペットとしても多く飼育されている身近な存在です。

しかしそれらのほとんど多くは日本国内の飼育下で繁殖された個体です。

両生類でありながらも、通常は変態せずに幼形のまま成熟し、水の中で暮らします。

飼育下の環境によって急に変態することもあり、飼い主が予想外の事態に驚いた、というケースも散見されます。

絶滅危惧種に指定されているメキシコサンショウウオは、メキシコにあるソチミル湖に生息する野生の個体が指定されています。

貴重な生息地である湖の水質汚染によって生息数が激減し、絶滅の危機に直面しています。

タスマニアデビル

2008年に絶滅危惧種に指定されました。

オーストラリアのタスマニア島にのみ生息するタスマニアデビルですが、同種内で感染する「デビル顔面腫瘍性疾患」という病気が流行したために大幅に生息数が減少しました。

サイズは大きなうさぎほどでそんなに巨体ではなく、見た目も小熊のようで可愛らしいです。

タスマニアデビルは哺乳類の中でも珍しい有袋類で、カンガルーやコアラと同様に、育児嚢といういわゆる袋で子育てをします。

悪魔という意味のデビルという名は、恐ろしい鳴き声と鋭い牙、さらに動物の死体を食べる姿が悪魔のようであることから付けられましたが、実際の声は想像するほどに恐ろしい声ではありません。

東京都にある「多摩動物公園」にて2016年6月より、アジアの国で初めて公開されたことで話題を呼んでいます。

キンシコウ

ゴールデンモンキーという別名でも呼ばれ、その名の通り黄金色の美しい毛をもち、青白い特徴的な顔をしている中国の猿です。

あの「西遊記」の孫悟空のモデルになったサルであるとも言われています。

標高の高い寒い所に生息していて、寒さから身を守る毛皮はとても暖かいです。

その美しくも暖かい毛皮でコートを作ろうとした人々によって、多くが乱獲されてきました。

現在は土地開発などの影響により、森林の伐採が進み、住処を奪われていることで生息数が減少しています。

兵庫県神戸の王子動物園や、神奈川県横浜のズーラシアなどで一時期公開されていました。

中国との契約期間満了によりすでにキンシコウは返還され、現在は日本国内で唯一、熊本県の「熊本市動植物園」で見ることができます。

ラッコ

水族館で人気者といえば「ラッコ」です。

プカプカと水に浮かび、貝をお腹の上で割って食べる姿が特徴的で、子供たちからの人気も絶大です。

毛の生えていない足を、寒さから守るために海上へ出しているところがバンザイをしているように見えたり、目を覆う仕草が愛らしく、大人からも根強い人気があります。

野生のラッコは沿岸部に生息し、岩場のある磯を好みます。

眠るときは、海流に流されないように海藻を巻き付けて寝ます。

日本国内ではワシントン条約により規制が入り輸入が著しく低下しています。

寿命は20年ほどですが、もともと繁殖がとても難しく、国内にいるラッコは高齢化し、日本の水族館ではそのうちラッコが見ることができなくなるのでは…と言われています。

ラッコの毛皮が昔は高級品として高く売れたことから、野生のラッコが乱獲され、大幅にその数が減りました。

その後の保護活動により毛皮目的での捕獲は抑えられるようになったものの、生息する海の水質汚染などにより命の危険にさらされています。

代表的な絶滅危惧種を知ろう

多くの生物が絶滅危惧種に指定されている今、私たちができることはどれくらいあるでしょうか。

動物園や水族館にに行けば見れた動物が「もう見れない…」という日が来るのは、そんなに遠い話ではありません。

地球規模の大きな問題はなかなか個人の力で動かすことは難しいですが、同じ地球上で生活している生物であることに人間も変わりはありません。

海にゴミを捨てないというのも当たり前なことではありますが、時には動物たちのことを思い出して自分の行動を意識するようにしましょう。